ムフロンは家畜として世界中で広く利用されているヒツジの原種のひとつとして考えられているが、体高は70~80cm程度で、野性のヒツジの中ではもっとも体が小さい。 これは、北アメリカに分布しているオオツノヒツジに比べるとふた周りほども小さい。 いくつかの亜種が知られていて、毛色には多少違いがあるが、多くは赤茶色や茶褐色、黒褐色などで、冬には黒っぽくなる。 腹部と四肢の半分は白っぽく、目の周りや口の周りなども白い。 また、完全に成長したほとんどの雄には、背中にサドル状の白い部分が見られる。 ムフロンには雌雄ともに角があるが、雌のものは痕跡程度か、あっても非常に小さいものしか見られない。 しかし、成獣の雄の角は渦巻状にひと回りし、大きなものでは1メートル近くにもなる見事なものである。 一見してアフガニスタンなどに分布しているマーコールに似た感じがするが、マーコールはヤギの仲間で、角の形も違うし、体もムフロンより大きい。 ヒマラヤタールにも似ている感じがするが、やはり角の形などが違っていて、ムフロンの雄にはタテガミなどは見られない。 ふつうは50~100頭程の群れで生活しているが、普段は雌雄が別のグループをつくっていて、雄のグループ内では角の大きさが順位を決める大きな要素になっている。 昼間に活動し、主に草や木の葉などを食べるが、日中は休んでいて、早朝と夕方に活発に活動する傾向が見られる。 平均的な妊娠期間は5ヵ月程で、1産1~2子、普通は1子を出産する。 雌は2~3年、雄は4年程で性成熟し、野生での寿命は雄で8~10年、雌では少し長く10~12年程度と考えられていて、飼育下での寿命は15~20年程度と言われている。 また、家畜としてのヒツジは、紀元前6000年頃にムフロンなどを原種として改良されたものだと考えられているが、現在のムフロンの野生種の分布域はコーカサス地方やイラク北部 、イラン北西部などとされている。 かつてはクリミア半島やバルカン半島などにも分布していたとされているが、これらのものは3000年前には消えてしまったと考えられている。 現在はドイツやスペイン、スイスなど、ヨーロッパ各地にも広く導入され、野性化しているものも多く見られるが、これらは古くにイタリアのコルシカ島やサルジニア島などに導入されたものを再移入したものとされている。 この他、南米のチリやアルゼンチン、北アメリカなどにも導入されているが、これらの中でも野生種は極めて稀で、オオツノヒツジや家畜のヒツジとの交雑も見られる。 また、ヨーロッパなどに移入されているものは森林地帯に多く生息しているが、ムフロンはふつう草原や砂漠などが混在しているような山岳地帯に生息し、標高3000m程のところでも姿が見られる。 これはオオカミやヒョウなどの外敵を避けるためで、冬には標高の低いところに降りてくるが、険しい山岳地帯に生息している。 尚、ムフロンは警戒心が強く、完全に成熟した雄は気が荒くなり、ほかの雄としばしば争うことがある。 近年では生息地の開発や家畜の放牧地の拡大などによってムフロンの個体数は減少しているほか、家畜種との交雑なども懸念されている。 尚、ムフロンは警戒心が強く、完全に成熟した雄は気が荒くなり、ほかの雄としばしば争うことがある。 このほか、ムフロンの分類は複雑で、パキスタンやインド、トルコの一部にも亜種が分布しているとも言われているが、世界の哺乳動物種(MSW)では、
尚、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価では、ムフロンを1種として扱い、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定している。 ウシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ムフロン