ゴイサギは、国内では多くの地域で留鳥として見られ、主に夜間に活動し、魚やカエルなどを食べる。 幼鳥と成鳥は別種かと思われるほど違っていて、幼鳥は「ホシゴイ」と呼ばれることもある。 分布 ゴイサギの分布域は広く、アフリカやユーラシアの大部分、フィリピンやインドネシア、日本のほか、北・南アメリカ大陸など、オセアニアを省く世界の温帯から熱帯地方に広く分布している。 冬には、寒い地方のものは南に移動するが、多くの地域で留鳥として見られる。 国内では、北海道などでは夏鳥として見られるが、本州より南では多くの地域で一年を通して生息している。 形態 全長は57~66cm程で、体はコサギほどの大きさがあるが、首や足は短く、ややずんぐりとした感じを受けなくもない。 雌雄同色で、翼は灰色をしているが、頭頂から背にかけては暗い灰青色のような色合いで、腹側は白い。 後頭部からは白くて長い冠羽が伸びていて、目は赤く、足は黄色っぽい色をしている。 嘴も頭頂の色と同じような色をしているが、冬の下嘴は黄色みを帯びている。 また、嘴から目にかけては羽毛がなく、皮膚が裸出している。 一見するとササゴイに似ているが、ササゴイの目は黄色で、冠羽も頭頂の色と同じ色をしているほか、翼にも白い筋が見られる。 また、ゴイサギの若鳥は親鳥とは全く違っていて、翼や背側は褐色で、三角形に見える多数の淡色の斑がある。 腹側は淡色だが、やはり多数の褐色の斑が見られ、全体の斑が星のように見えることから「ホシゴイ」と呼ばれることもある。 生態・生活 ゴイサギは河川や湖沼、湿地や干潟、内湾など、水辺近くに生息していて、単独や小さな群れで生活している。 昼間も活動するが、日中は水辺の木にとまって休んでいることが多く、夕暮れ時から早朝にかけて活発に活動する。 採餌は夜間にも行われ、英名の「night」はこれに由来している。 主に魚や甲殻類などを食べるが、カエルやトカゲ、ヘビなどのほか、ネズミなどの小型の哺乳類をとらえることもある。 ミミズなども食べるほか、鳥類やその卵、腐肉など、ゴイサギは様々なもの食べ、耕作地で採餌していることもある。 また、動物園などでは、アシカやペンギンの飼育場の近くにとまっていて、投げられた魚の餌を素早く横取りしてしまうこともある。 養魚場や飼育している公園内の魚などを食べることもあり、害鳥とされることもある。 ところで、「ゴイサギ」の名前の由来は、よく知られていると思うが、『平家物語 巻第五』の中の逸話から付けられている。 それによると、当時の「醍醐天皇が神泉苑に行幸された時、『池の縁に留まっているサギを捕らえてみよ』と、六位の付き人に命じられた。 付き人が捕えようと近づくと、サギは飛び立とうとしたが、『宣旨であるぞ』と告げると、サギは飛び立たずに捕まえられた。 御前に召し出されたサギを見て、『宣旨に従って参りたることは神妙なり。やがて五位になせ』と仰せられ、サギは五位を授けられた。」 概ねそのような逸話が残っているが、これがゴイサギの名前の由来とされている。 また、ゴイサギは夜間に「クワッ」などとカラスのような大きな声で鳴くことから、「ヨガラス」と呼ばれることもあるが、学名の「Nycticorax」もギリシア語で「夜のカラス」を意味している。 繁殖・寿命 国内での繁殖期は4~8月頃で、平地から丘陵地にかけての森林などに営巣する。 巣は水辺近くの林などに、コサギやチュウサギなど、他のサギ類と混成した集団営巣を行う。 巣は樹上につくられ、雄は小枝などの巣材を運び、主に雌が巣作りをする。 一本の木に十数個の巣がつくられることもあるが、巣は前年に使った古巣を利用し、それを改修してつくられることも多い。 雌は3~8個ほどの卵を産むが、隔日に産卵することが多い。 抱卵は雌雄で行われ、卵は21~26日程で孵化する。 育児も雌雄によって行われ、ヒナは2週間ほどで巣を離れるようになる。 孵化後6~7週間ほどでしっかりと飛べるようになり、やがて独立していく。 また、ゴイサギは他の巣のヒナも育てることがある。 雌雄ともに1~2年ほどで性成熟し、野生下での寿命は、標識による記録で21年を超えたものが知られている。 保護状況・その他 ゴイサギは分布域が広く、国際自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。 一方、国内でもよく見られるが、個体数が減少傾向にある地域もあり、クイナ科のバンと共に、近年狩猟の対象から外されている。 尚、ゴイサギには次の亜種が認識されている。 Nycticorax nycticorax nycticora サハラより南のアフリカやインドから東アジア、日本や東南アジアに分布する基亜種 N. n. hoactli カナダ南部からアルゼンチン北部、チリやハワイ諸島 N. n. obscurus チリやアルゼンチン南西部 N. n. falklandicus フォークランド諸島に分布 サギ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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ゴイサギ