動物図鑑・アミメニシキヘビ

アミメニシキヘビ さんのプロフィール



動物図鑑・アミメニシキヘビ

アミメニシキヘビ

有鱗目・ニシキヘビ科
学 名 Python reticulatus
英 名 Reticulated python
分布域 インドから東南アジアなど
生息環境 熱帯雨林や草原、湿地や沼地など
全 長 1.5~6.5m 程度
体 重 1~60kg 程度

アミメニシキヘビは、インドからバングラディシュ、ミャンマーを経て、インドシナ半島全域、マレー半島全域からインドネシア、フィリピンなどに広く分布している大型の蛇で、もっとも長い蛇のひとつとして知られている。

体は、長さの割りに胴回りが細く、同じ長さのグリーンアナコンダに比べると、体重は半分程度と言われている。
また、体は雌の方が大きく、大きい雌では全長6m程に成長するが、雄は大きくても全長4.5m程度とも言われている。

体色は、淡黄色から褐色で、背面には黄褐色などに縁取られた黒色の斑紋が並んでいる。
この斑紋が網目状に見えることから名前が付けられているが、分布域が広いこともあり、体色や模様などには多くの変化がある。
この模様は目立つようだが、森林などでは保護色の役目を果たしていて、獲物を狙うにも役立っている。
また、目はオレンジ色や赤褐色のような色をしている。

アミメニシキヘビは、熱帯雨林や草原、湿地や沼地などに生息しているが、水辺を好み、河川や湖など、水源に近いところで多く見られる。
また、人家の近くや耕作地、時には市街地周辺にも姿を見せ、都市部の下水道にいることもある。

垂直方向の生息域も広く、低地から標高1200m辺りまで見られるが、標高2500m辺りでも見られるとも言われている。

泳ぎは大変巧みで、幼蛇や若いものは、危険を感じると素早く水の中に逃げ込み、泳いで逃げる。
海岸から遠く離れた沖合いでも観察されていることから、近隣の諸島などへも渡っていったと考えられている。
木登りも巧みで、体の大きいものほど地上で生活することが多くなるが、幼蛇や若いものはよく木に上る。

ところで、アミメニシキヘビはアジアでは最大の蛇で、これまでで最も大きい固体は、インドネシアの東カリマンタンで確認されたもので、全長6.95m、体重は59kgあったとされている。
しかし、全長6mを超えるものは稀で、平均すると3~5m程度とも言われている。

時に、最大のものは全長9mを超えるとも言われているが、これまでにその様な大きな固体は確認されていない。
以前、アメリカ・ペンシルベニア州のピッツバーグ動物園(旧ハイランドパーク動物園)で飼育されていたもの(名前・コロッサス/Colossus)は全長8.7mとされていたが、死亡後の標本の計測によると、骨格の長さ6.35m、皮の長さは7.29mと測定されている。

しかし、この皮の長さは、死亡後の標本制作時に剥がされた時のもので、生きているときよりは伸びて長くなっているので、実際の全長はこれよりも短いとされている。
皮を剥ぐと、その長さはふつう20~40%程は長くなっているので、剥いだ皮では実際の長さを確定することができず、脱皮した皮を測定したものもこれと同じで、生体の正確な長さを知ることはできない。

この他、インドネシアの動物公園でも、14.85mのアミメニシキヘビが飼育されていると言われていたが、 その後、実際の長さは、およそ6.5mの長さであることが判明している。

アミメニシキヘビを含め、大型の蛇の全長は、麻酔をかけて動かない状態や死亡後の測定などに頼らなければならないのが実情で、生きている蛇をまっすぐに伸ばして測定することは無理だとされている。
体重を測定するのも同様で、胃の内容物などによっても数値が左右されてしまうことがある。

アミメニシキヘビは、鳥類やその卵、哺乳類などを食べるが、トカゲやカエルなどの爬虫類や両生類なども食べる。
一般に、全長3~4m程のものは、ネズミなどのげっ歯類を主に食べるが、より大きいものはジャコウネコカワウソ、霊長類やイノシシ、ブタなどを捕らえる。
また、人家の近くのものは、鶏などの家畜やネコ、イヌなどを捕らえることもある。

アミメニシキヘビは、自分の長さや体重の4分の1位までの獲物を飲み込むことができると考えられているが、最大のものは、体重23kg程のマレーグマを食べていた例もある。
小さい獲物は丸呑みするが、大きい獲物は、食いついた後、体を相手に巻きつけて絞めつけ、弱ったところをゆっくりと丸呑みにする。

また、ワニやヒョウなどを襲うこともあるとしばしば言われているが、ビルマニシキヘビがワニを襲った例は知られているが、本種がこれらの生き物を襲うのかははっきりしない。

しかし、アミメニシキヘビは、アフリカニシキヘビ、アナコンダと共に、人を捕食する数少ない蛇として知られている。
けれども、大型のものは稀に人を襲うことがあるが、アフリカニシキヘビのように攻撃的ではなく、実際に報告・確認されている例も少なく、多くの場合、危険なヘビとはみなされていない。

産卵期は地域によって差があるが、雌は4~10月頃に、15~80個程の卵を産む。
産卵数は雌の体の大きさによって差があり、全長6mを超える雌なら、一度に100個ほどの卵を産卵すると言われている。

卵は、31~32℃の飼育下では80~90日程で孵化するが、雌はほかのニシキヘビと同様、体を卵に巻きつけ、抱卵する習性がある。

飼育下での寿命は、長いもので32年の固体が知られているが、多くは18~27年、平均すると23年程度と言われている。
しかし、野生での寿命はこれよりも短く、15~22年程度と考えられている。

体が大きいこともあり、アミメニシキヘビにはほとんど外敵がいないが、卵や幼蛇は、ワシなどの猛禽類やワニなどに襲われることがある。

この他、アミメニシキヘビには次の三亜種があると言われている。

Python reticulatus reticulatus
  広く分布する基亜種
P. r. jampeanus
  スラウェシ島南部のセルラヤ諸島のタナハンペアに分布し、全長2mを超えない。
P. r. saputrai
  セレーヤ諸島のセルリアン島とスラウェシ島に分布し、全長4mを超えない。

しかし、これらの亜種は確定されたものでなく、詳しいことは、今後の研究に委ねられている。

アミメニシキヘビは、古くから皮や肉を目的とした狩猟が行われてきたが、今のところ、絶滅の危惧はないとされている。
現在も狩猟が行われているが、これによる生息数の減少よりも、近年の開発などによる生息地の喪失の方が心配されている。

尚、アミメニシキヘビは、国内では特定動物に指定されているため、飼育には自治体の認可が必要になっている。
また、ニシキヘビ科をボア科とする場合もある。

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