動物図鑑・パタスザル

パタスザル

パタスザル (パタスモンキー)さんのプロフィール


動物図鑑・パタスザル
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和 名 パタスザル (パタスモンキー)
分 類 霊長目・オナガザル科
学 名 Erythrocebus patas
英 名 Patas Monkey
分布域 西アフリカからエチオピア、ケニアにかけてのサハラ以南
生息環境 低木地帯やサバンナなど
体 長 50~85cm 程度
尾 長 50~75cm 程度
体 重 5~13kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 準絶滅危惧種 (NT)
パタスザル(パタスモンキー)は、アカシアの多い低木地帯などに生息するオナガザル科のサルで、西アフリカから東アフリカまで広く分布している。

主として地上性のサルで、駆けるのは速く、霊長類の中ではもっとも速く走ることができると言われている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


パタスザルの分布域・生息環境
パタスザルは西アフリカのセネガルやギニア、シエラレオネからナイジェリア、ニジェール、チャドなどのアフリカ中央部を経て、エチオピアやケニアにかけての東アフリカまで広く分布している。

この分布域の広さから、パタスザルは西の方ではパタス、東の方ではニスナス(Nisnas)と呼ばれているが、サバンナ地帯や開けた草原、高地の岩場などのほか、サハラ砂漠の南に隣接する半砂漠地帯などにも見られ、主に乾燥した地域に生息している。

また、ふつうは熱帯雨林などでは見られないが、樹木が伐採された跡の人工的な空き地などでは例外的に目撃されているほか、近年は、生息地の開発などにより耕作地周辺にも姿を見せるようになっている。


パタスザルの大きさ・特徴

パタスザルは体長50~85cm、体重5~13kg程で、雌雄共に、全体にほっそりとした体つきをしている。

しかし、体は雄の方が大きく、雄の成獣の体長は60~85cm、体重は7~13kg程はあり、ふつうは10kgを超えるが、雌は体長50cm、体重は5~7kg程で、雄よりもずっと小さい。

雌雄共に四肢が長いのが特徴で、四肢の長さはいずれも同じほどの長さがある。
この長い四肢は地上生活をするのに適していて、パタスザルはかなり速く走ることできる。

また、ニホンザルのように頬袋があり、食べ物を一時蓄えておくことができるほか、雄の首と肩の毛は他よりも長く、強力な犬歯をもっている。
その犬歯は、アフリカに分布しているオナガザルの中では、もっとも長いと言われている。

毛色は背面が赤褐色、腹部は白や灰色などだが、幼獣は全身が赤っぽい色をしている。
また、顔には口ひげのような白っぽい毛が見られるのも、パタスザルの特徴になっている。


パタスザルの生態・生活

パタスザルは、毛色が赤っぽいところから別名・レッドモンキーなどとも呼ばれるが、大きな群れをつくって軍隊のように移動することから、軍隊ザル(ミリタリーモンキー)などと呼ばれることもある。

群れの大きさは10~30頭ほどで、様々な大きさの群れが見られるが、この群れはふつうは1頭の大きな雄に率いられている。
しかし、50~60頭程の群れも見られ、時には100頭程にもなる群れをつくることもある。

一方、雄だけの群れもあり、若い雄は単独で生活しているものも見られる。
そのような雄は、しばしば雌を率いている雄と争い、雌の群れにとどまる雄は、1年かそれまでに入れ替わるとも言われている。

行動範囲は地域や食糧事情、群れの大きさなどによって変化するが、概ね20~50平方km程と言われている。
しかし、時には80平方km程にもなり、パタスザルの行動範囲はかなり広い。

パタスザルは昼間に活動するが、日中の暑い時間は樹上で休んでいて、朝夕の涼しいときに活発に活動する。
夜間は群れになって低木の上などで眠るが、子どもは親と一緒に休むようにしている。
また、外敵を避けて、ふつうは同じ木で二晩続けて休むようなことはしないと言われている。

木登りも巧みだが、パタスザルは主として地上性のサルで、採餌も主に地上で行う。
雑食性で、果実や木の葉、木の実や草木の根、樹脂などのほか、昆虫やトカゲ、ヘビ、鳥や鳥の卵なども食べる。

近年は生息地が耕作地などに置き換わってしまい、そのような地域では農作物に被害を与えることもある。
また、水は毎日飲み、しばしば水を求めて移動する。

パタスザルが生息するサバンナにはライオンチーターブチハイエナなどの外敵が多いため、地上ではかなり敏捷に動きまわる。

長い四肢は走るのに適していて、驚いたりすると地上を走って逃げ、イヌが駆けるようにかなりの速さで走ることができる。
走る速度は時速55kmほどにも達すると言われ、パタスザルは霊長類の中ではもっとも速く駆けることができると言われている。

しかし、ジャッカルやヤマネコなど、比較的体の小さい外敵に対しては、攻撃して追い払う様子も観察されている。

また、外敵が近づいたりすると警戒音を発して仲間に知らせるが、パタスザルは外敵によって違った警戒音を発すると言われている。

性質はおとなしく、人が近づくと逃げてしまうか、草の間や藪の中などに隠れてしまう。


パタスザルの繁殖・寿命

パタスザルの繁殖期は地域によって差があるが、カメルーンなどでは6~9月頃で、子どもは11~1月の間に生まれている。
繁殖は一夫多妻で、群れの中の1頭の雄が複数の雌と交尾する。

しかし、繁殖期には群れの中に外部からの雄が一時的に加わり、雌は外から入ってくる雄とも交尾する。
群れの中に外から入ってくる雄の数は、群れの大きさによって差があるが、2~19頭ほどが観察されている。

雌の妊娠期間は170日前後と言われていて、ふつうは1産1子を出産する。
生まれたばかりの子どもは体重300~500g程で、黒っぽい毛で覆われている。

毛色は3ヶ月を過ぎる頃から赤っぽくなり、1年ほどの授乳期間があるが、完全に離乳するのは、次の子どもが生まれた時と言われている。
また、育児は主に雌によって行われるが、子どもがいない雌が育児を手伝うことも観察されている。

雌は3年、雄は4~4年半程で性成熟し、雌はその後も出生した群れの中に残るが、雄はその頃までには群れから離れていく。

パタスザルの飼育下での寿命は28年を超えるものも知られているが、平均すると20年程度と考えられている。
野生下での寿命はこれよりも短く、15~20年程度と考えられている。


パタスザルの保護状況・その他

パタスザルは分布域も広い為、近年までは絶滅の恐れはないとされていたが、現在は、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに準絶滅危惧種(NT)として指定される情況になってしまっている。

主な原因は開発による生息地の減少だが、それに伴って耕作地にも姿を現すようになり、サトウキビや小麦、パイナップルなどの農作物を荒らすことから害獣として駆除されたりすることある。

また、肉を目的とした狩猟、ペットや医学用の実験動物としての取引も生息数減少の原因になっている。

このほか、パタスザルは、Erythrocebus patas patas や E. p. pyrrhonotus、E. p. villiersiなどの亜種に別けられることもあるが、亜種はいないとも考えられていて、これについては今後の研究が待たれる。

また、パタスザルは単一種とも考えられていたが、現在は、本種・Erythrocebus patasのほか、

・E. baumstarki
エチオピアやスーダンに分布、絶滅危惧IA類

・E. poliophaeus
タンザニア北部

のふたつの独立種があると考えられている。

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