ヤクニホンザル

ヤクニホンザルさんのプロフィール

和名		ヤクニホンザル (ヤクシマザル)

分類		霊長目・オナガザル科

学名		Macaca fuscata yakui

英名		Yakushima Macaque / Japanese Macaque

分布域		鹿児島県・屋久島

生息環境		森林地帯など

体長		40～60cm 程度

尾長		5～10cm 程度

体重		6～13kg 程度

ヤクニホンザルは鹿児島・屋久島に分布しているニホンザルの亜種で、ヤクシマザル、ヤクザルなどとも呼ばれている。

基亜種に比べると体がやや小さく、大きな群れをつくることはないが、生活の様子はよく似ている。

●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ

ヤクニホンザルの分布域・生息環境

ヤクニホンザルは、名前のように、鹿児島県の屋久島だけに分布している。

青森県の下北半島に分布しているニホンザルは、北限域で生活しているサルとしてよく知られているが、ヤクニホンザルの生息地である屋久島は、ニホンザルが生息する南限にあたっている。

本州などに生息しているものと同じで、低地から山地の森林地帯に生息しているが、人里近くにも姿を見せる。

ヤクニホンザルの大きさ・特徴

ヤクニホンザルは、体長40～60cm程度、体重は6～13kg程で、本州などの基亜種に比べると、やや体は小さい。

また、体はややずんぐりとした感じで、毛色は灰色っぽく、長くて粗い感じがするほか、顔の紅色も淡い色をしている傾向があると言われている。

しかし、全体としては本州などに生息しているニホンザルとほとんど変わらない。

ヤクニホンザルにも、食べ物を一時的に蓄えておくことができる頬袋があり、顔や尻だこも赤っぽい色をしている。

ヤクニホンザルの生態・生活

ヤクニホンザルは基亜種と同じで、低地から山地の森林地帯に生息している。

また、高地に生息しているものは、冬の積雪期には低地に降りてくるが、近年、屋久島は観光化されていて、遊歩道で見られることもある。

生活の様子も基亜種とほとんど同じで、群れをつくり、社会性をもった生活をしている。

群れの中には順位や血縁関係が見られることも同じで、雄だけの群れや、単独で生活している雄が見られるのもよく似ている。

ただ、本州などのニホンザルの群れの大きさと比べると、ヤクニホンザルの群れは小さいと言われていて、普通は10～30頭、多くても50頭ほどの群れで生活している。

これは、島という限られた環境で生活しているためで、本州などのニホンザルの様に大きな群れをつくることはない。

体が小柄なことも同じ理由からと考えられていて、同所的に生息しているヤクシカにも同じことが当てはまる。

食性なども本土のものと同じで、ヤクニホンザルはヤマモモやイヌビワなどの果実類やドングリなどの木の実などのほか、木の葉などもよく食べる。
また、キノコのほか、雑食性で、カエルやトカゲ、昆虫類なども食べる。

ヤクニホンザルの繁殖・寿命

ヤクニホンザルの繁殖は8～12月頃にかけて見られ、雌雄ともに複数のものと交尾する。
時にはほかの群れのものとも交尾するが、これによって近親交配を避けることができる。

雌の妊娠期間は5～6か月ほどで、翌年の3～5月頃に、1産1子、稀に2子を出産する。
子どもは本州などの子どもよりもく暗い毛色をしていると言われているが、そのほかは同じで、生後半年ころから離乳がはじまる。

雌雄とも4～5年ほどで性成熟し、雌は成熟した後も群れの中に留まるが、雄は成熟する頃には群れを離れ、別の群れに入って行ったり、雄だけの群れをつくったりする。

寿命も本州に生息しているものと同じで、野生下での寿命は20～25年程度と考えられている。

ヤクニホンザルの保護状況・その他

屋久島では、かつて広葉樹の伐採などにより、生息地を奪われたヤクニホンザルが人里に現れ、果樹園などの農作物に被害を与えることになり、害獣として駆除されてきた経緯がある。

一時は生息数が減少し、環境省のレッドリストに準絶滅危惧種などとして記載されていたこともあったが、現在では人との共生を目指した政策がとられていて、それに伴いヤクニホンザルの数も回復している。

今のところ絶滅の恐れはないとされているが、一方で、人への被害も報告されている。

多くは、観光客が与える餌が原因で、人を怖がらなくなって、物を取って行ったりすることがあるほか、人慣れしたものは民家の近くにも現れ、時には家屋に浸入するなどの被害も出ている。

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