キョウジョシギ

キョウジョシギ さんのプロフィール


鳥類図鑑・キョウジョシギ

キョウジョシギ

チドリ目・シギ科
学 名 Arenaria interpres
英 名 Ruddy Turnstone / Turnstone
分布域 日本には渡り鳥として飛来し、春と秋の渡りの時期に見られる
生息環境 砂浜や干潟、岩礁海岸や湿地、河原など
全 長 21~26cm 程度
翼開長 47~55cm 程度
体 重 84~150g 程度
自治体によっては準絶滅危惧種など

キョウジョシギは最北で繁殖するシギ類のひとつで、日本では春と秋の渡りの時期に見られる。
名前は、羽毛の模様が、京都の女性が着ていた着物の柄に似ていることから付けられていて、特徴をよく表している。


分布域
キョウジョシギは、一年の間に繁殖地と越冬地を行き交う渡り鳥で、ユーラシア大陸北部からアラスカ、カナダ、グリーンランドに至るツンドラ地帯で繁殖し、冬には中・南アメリカやアフリカ、東南アジアやニュージーランド、オーストラリアなどに移動して越冬する。

日本では渡り鳥として飛来し、春と秋の渡りの時期に見られるが、南西諸島では越冬するものも見られる。


形態

キョウジョシギはシギ科に属しているが、嘴と足が短く、チドリ類に似たずんぐりとした体つきをしている。

全長は21~26cm程で、体はムクドリほどの大きさがある。
夏羽は、頭部に白と黒の乱雑な模様があり、喉から胸にかけては黒い色をしている。
背中と翼には特徴的な黒と赤茶色の斑が見られるが、腹側は白い色をしている。
また、嘴は太くて黒く、脚は濃いオレンジ色のようで赤っぽい。

雌は全体に鈍い色をしていて、冬羽は、雌雄ともに赤褐色の斑が消失し、上面は黒褐色のような色をしている。


生態・生活

日本では春と秋の渡りの時期に見られ、全国に飛来する。
干潟や岩礁海岸などに多いが、水田や河原で見られることもある。

渡り鳥であるキョウジョシギは、海洋を越え、繁殖地と越冬地との間の長い距離を移動し、渡りの際には、1日に1000km以上を飛ぶことができる。

多くは5~6月に繁殖地に到着し、ツンドラ地帯や岩の多い海岸域で生活している。
7月下旬ころから9月には越冬地に向けて出発するが、移動は小さな群れで行われ、多くの場合、コオバシギやミユビシギ、ヒレアシトウネンやハマシギなどの群れと混成する。

渡りの途中では、海岸線、沿岸域に沿って見られ、日本ではこの時期に見られる。
全国に飛来し、干潟や岩礁海岸などに多いが、時に水田や河原で見られることもある。
また、冬季も砂浜や干潟で生活していて、湿地などでも見られる。

キョウジョシギは、繁殖期以外は群れで生活し、他のシギ類と一緒に見られることもある。
一方、繁殖期には縄張りを主張し、他のシギ類に対しても攻撃的になり、羽を上げて鳴き声をあげ、突進するような威嚇行動を行う。

日中に活動し、主に無脊椎動物を食べるが、昆虫や小魚、腐肉など、さまざまなものを食べる。

昆虫類は、繁殖期には特に重要な食べ物で、甲殻類や軟体動物などもとらえるほか、稀にカモメやアジサシなど、ほかの鳥の卵を食べることもある。
また、渡りの途中では、沿岸域で甲殻類や軟体動物、多毛類などを多く食べる。

採餌は、ふつう群れで行われ、しばしば丈夫な嘴で石をひっくり返し、下に隠れている獲物をとらえたりする。
「Turnstone」という英名は、この行動から付けられていて、僅かに上側に反った嘴は、これに役立っている。
硬い二枚貝やフジツボなども、丈夫な嘴を使って、巧みに殻を開いてしまう。

外敵はハイタカやハヤブサ 、フクロウなどの猛禽類だが、成鳥が襲われることは少ない。
ほとんどは幼鳥や孵化したばかりの子どもが襲われ、 ワタリガラスなどに加え、ホッキョクギツネアカギツネなどにも襲われることがある。


繁殖・寿命

繁殖は年に一度、一夫一婦で行われるが、ほとんどのものは、同じ繁殖地に戻ってくるとされている。
また、ペアの雌雄も前年の営巣地で再び出会い、数年間は同じ相手を選ぶとも言われている。

繁殖期は5~6月頃で、巣は草木が茂る中に造られることもあれば、石や砂礫ばかりのところに造られることもある。
いずれの場合も、巣は地面に浅く掘られ、葉が敷かれていることが多い。

雌は一回の繁殖で2~5個、平均すると4個の卵を産む。
卵は41mm × 29mm程の大きさで、楕円形をしている。
重さは18g程度で、ふつうは淡い緑茶色に濃茶色の模様がある。

主に雌が抱卵するが雄も抱卵し、子育ても手伝う。
卵は21~24日ほどで孵化し、子どもは3週間ほどで巣立ちする。
雌雄ともに2年ほどで性成熟するが、幼鳥は寒さや捕食などにより、初年度の生存率は半数程度と言われている。
また、実際の繁殖は生後3~4年に遅れることもある。

寿命は、野生下で19年を超えたものがいたとされ、30年を超えるとも言われているが、ふつうは7~9年程の寿命ではないかと考えられていて、詳しくは分かっていない。


保護状況・その他

キョウジョシギは、現在のところ絶滅の危惧はないとされているが、渡りの途中にあたる沿岸域での開発などが進み、生息地や食べ物の減少が懸念されている。
国内でも干潟や砂浜などが失われ、自治体によっては準絶滅危惧種などに指定している。

尚、キョウジョシギには次の亜種が認識されている。

Arenaria interpres interpres
カナダ北東部、グリーンランド、北ヨーロッパからシベリア北東部、アラスカ西部で繁殖し、南ヨーロッパやアフリカ、アジア南部、オーストラリア、太平洋諸島、アメリカ西部、メキシコ西部などで越冬する。

A. i. morinella
アラスカ北東部とカナダ北部で繁殖し、アメリカ南部から南アメリカで越冬する。


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