ヒヨドリ

ヒヨドリ さんのプロフィール


鳥類図鑑・ヒヨドリ

ヒヨドリ

スズメ目・ヒヨドリ科
学 名 Hypsipetes amaurotis
英 名 Brown-eared Bulbul
分布域 日本を含む東アジア
生息環境 平野部から低山帯など
全 長 27~29cm 程度
翼開長 40cm 程度
体 重 65~100g 程度

ヒヨドリは国内各地に生息していて、最も身近な鳥のひとつになっている。
市街地の公園や庭先などでもふつうに見られ、秋にはセンダンの実などに群れで集まり、たちまちの内に食べてしまう。


分布域
ヒヨドリは樺太から日本、朝鮮半島や台湾、中国南部からフィリピン北部にかけての東アジアに分布していて、冬季には、北のものは暖かい地方へ移動する。

国内では一年を通して生息する留鳥として多くの地方で見られるが、北のものは冬には南へ移動して冬を越す。


形態

体はハトよりは小さいが、ムクドリよりは少し大きく、全長は27~29cm程度、翼を広げた翼開長は40cm程の長さがある。

雌雄同色で、頭部から体は灰色や青みを帯びたような灰色で、翼や尾羽は灰褐色をしている。
胸から腹にかけては灰色で、細かい暗色の斑がある。
頭頂には短いながらも冠羽があり、頬には赤褐色の大きな斑が見られる。

時折ムクドリと間違われることもあるようだが、ヒヨドリの頬にある赤い斑は、離れていてもよく目立つ。
また、尾は長く、嘴は鋭くて黒い色をしているほか、足は暗い赤褐色のような色をしている。

鳴き声は「ヒーヒー」や「ヒーヨ、ヒーヨ」など、一年を通して様々な鳴き方をするが、鳴き声は大きく、それだけでヒヨドリであることが分かる。


生態・生活

ヒヨドリは国内各地に広く生息しているが、北のものなどは、冬には西日本などへ移動していき、渡りの時期には大きな群れが見られる。

平野部から低山帯まで広く生息していて、市街地でもふつうに見られる。
群れで生活していて、主に樹上で採餌するが、地上でも採餌し、耕作地などでもよく見られる。

主にヤマモモなどの果実や種子を食べるが、ナンテンやマンリョウなどの赤い実を好んで食べる。
また、草の葉や芽などのほか、繁殖期には昆虫もよくとらえ、バッタやハチなどのほか甲虫類などもよく食べる。
ツバキなどの花の蜜も好み、早春にはメジロと共によく見られる。

イイギリやセンダンの実もよく食べるが、公園や庭先でスズメにパンくずなどを与えているところを見るが、餌の少ない冬季には、近くの枝などにとまっているヒヨドリが素早く飛んできて、空中でとらえて横取りしてしまうこともある。

時には、キャベツなどの農作物に被害を与えることもあり、ムクドリと同様群れで活動していることもあり、害鳥として嫌われることも多い。

飛ぶ時は、セキレイ類に似て、大きな波を描くようにして飛ぶ。
また、名前のよく似ているものにイソヒヨドリがいるが、イソヒヨドリはヒタキ科に属していて、ヒヨドリはヒヨドリ科に属している。

ところで、ヒヨドリは古くから親しまれていた鳥で、平安の頃には、貴族の間では盛んに飼育されていたようである。

その頃には「比衣土里(ひえどり)」と呼ばれていたようで、平安中期に編まれた辞書でもある「和名類聚抄」には「鵯 和名比衣土里」の記述が見られる。

時代が下り、江戸時代中期に編纂された「和漢三才図絵」には、「和名比衣止里」、「俗云比與土里」と併記されているので、この頃には、一般に「ひよどり」とも呼ばれていたことが分かる。

ヒヨドリの名前はこの頃から定着しているようだが、「ひよどり」が「ひえどり」から転訛したものなのかは分からない。
「比與土里(比与止利)」は鳴き声から付けられたものとも言われているが、「ひえどり」を含め、名前の由来ははっきりとしない。


繁殖・寿命

繁殖期は5~9月頃で、繁殖は一夫一婦で行われる。

営巣は平地から低山帯にかけての森林などで行われるが、市街地にある樹木の多い公園などでも営巣する。
巣は地上から2~6mぐらいの樹上につくられることが多いが、時には街路樹などにも営巣することがある。

巣は小枝や茎、細根などを用いたお椀型のもので、内側には枯葉や細根、樹皮などが敷かれている。
巣は5~10日ほどで完成し、大きさは直径15cm程だが、巣の大きさは、巣をかける枝ぶりによって大小がある。

また、市街地に生息するカラスが営巣に針金などを用いることがあるが、ヒヨドリもナイロンやビニール紐、布切れなどを巣作りに用いることがある。

雌は1日に1個の割合で3~6個ほどの卵を産み、主に雌が抱卵する。
卵の大きさは30×20mm程、重さ6~7g程度で、雌は最後の卵を産んだのちに抱卵をはじめる。

卵は2週間ほどで孵化し、育児は雌雄によって行われる。
ヒナは孵化後10日程で巣を離れるが、その後も1か月ほどの間は親と一緒に生活している。
また、ヒヨドリの巣にはカッコウが托卵することがある。

飼育下での寿命は8~10年程度、野生下では4~6年程度と言われているが、野生下でも足環による観察で10年のものが報告されているので、野生下でも飼育下ほどの寿命はあるのかもしれない


保護状況・その他

現在のところヒヨドリの生息数は安定していて、国際自然保護連合などでは、絶滅の恐れはないとしている。
国内でもふつうに見られ、生息数も増加しているように思える。

尚、ヒヨドリには次のような亜種が認識・提唱されているが、分布域が広くないにもかかわらず、多くの亜種に別けられていることには驚かされる。

Hypsipetes amaurotis amaurotis
本州から南や韓国の済州島などに分布する基亜種

H. a. matchiae (ヤクヒヨドリ)
八丈島、 屋久島、種子島などに分布

H. a. ogawae (アマミヒヨドリ)
奄美諸島やトカラ列島に分布

H. a. pryeri (リュウキュウヒヨドリ)
沖縄諸島に分布

H. a. stejnegeri (イシガキヒヨドリ)
与那国島を除く八重山諸島

H. a. squamiceps (オガサワラヒヨドリ)
小笠原諸島

H. a. magnirostris (ハシブトヒヨドリ)
硫黄列島

H. a. borodinonis (ダイトウヒヨドリ)
大東諸島

H. a. nagamichii (H. a.harterti・タイワンヒヨドリ)
与那国島、台湾

H. a. batanensis
フィリピン・パタン諸島

H. a. fugensis
フィリピン・バブヤン諸島

H. a. camiguinensis
フィリピン・カミギン島


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