動物図鑑・ハナグマ

ハナグマ

ハナグマさんのプロフィール


動物図鑑・ハナグマ
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和 名 ハナグマ
分 類 食肉目・アライグマ科
学 名 Nasua
英 名 Coati
分布域 アフリカ中央部辺り
生息環境 主に森林地帯など
体 長 40~70cm 程度
尾 長 35~70cm 程度
体 重 3~6kg 程度
ハナグマは、一見してイタチ科アナグマに似た感じもするが、ハナグマの仲間はアライグマ科にしている。

アライグマのように、尾にはリング模様があるが、ハナグマの鼻面は長く突き出ていて、離れていてもよく分かる。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


ハナグマの分布域・生息環境
ハナグマ(ハナグマ属)にはアカハナグマハナジロハナグマの2種が知られていて、北アメリカ南部から南アメリカ中央部辺りまで広く分布している。

北はアメリカ合衆国のアリゾナ州南部やニューメキシコ州、テキサス州から、南はウルグアイの北部辺りまで分布している。

その中で、北からコロンビア北部まではハナジロハナグマが分布していて、それより南ではアカハナグマが分布している。

広範囲に分布していることから、ハナグマの生息環境はさまざまで、乾燥地帯から湿潤な熱帯雨林、草原や海岸付近などのほか、耕作地や町の周辺などにも生息している。

垂直方向の分布域も広く、ハナグマは低地から標高2500m程の寒冷なアンデス山脈にも生息している。


ハナグマの大きさ・特徴

ハナグマは、体長40~70cm、体重は3~6kg程で、雄の方が雌よりもやや体が大きい。

四肢はアナグマよりも長く、体もほっそりとした感じがするが、四肢にはそれぞれ5本の指がある。
爪は丈夫で、湾曲した前肢の爪は後肢より長く、土を掘って食べ物を探しだりたりするのに適している。

ハナグマの特徴は、鼻面が長く突き出ていることで、僅かに上向きに反っている。
この鼻はよく動かすことができ、嗅覚にも優れている。

耳は小さく、内側の縁は白く縁どりされているほか、尾はかなり長く、体長の半分以上か、同じほどの長さがある。

尾の先は細くなっていて、全体にリング状の模様があるが、模様がはっきりしないものも見られる。

また、ハナグマの尾は、樹上などでバランスをとるのには役立っているが、同科のキンカジューなどのように、物に巻き付けたりすることはできない。

毛色は灰褐色や褐色、茶褐色や暗褐色などが多いが、ハナグマの毛色には変化が多く、オレンジ色のようなものや灰色っぽいもの、ほとんど黒色のものも見らる。

しかし、ハナジロハナグマの鼻には白い筋が見られるが、アカハナグマの鼻先は黒っぽい色をしている。

また、いずれも腹側は淡い色をしていて、四肢の先は黒っぽく、目の上下や頬には白い斑が見られる。


ハナグマの生態・生活

ハナグマは低地から標高の高い山地まで、さまざまな環境に生息していて、時には町中にも姿を見せる。

雌は子どもたちと一緒に数頭から30~40頭ほどの群れをつくっているが、雄は繁殖期以外は単独で生活している。

ハナグマはアライグマ科に属していて、夜間にも活動するが、アライグマやキンカジューとは違って、主に日中に活動する。

木登りはうまく、夜間は木の上などで休むが、樹上と地上の両方で生活している。
樹上では長い尾を使って巧みに動き回るが、地上でも活発に動き回る。

採餌も樹上と地上の両方で行われ、主に果実類や無脊椎動物などを食べるが、ハナグマは昆虫や鳥、その卵、爬虫類やネズミなど、さまざまなものを食べる。

耕作地で作物を食べたりするほか、時には家禽を襲ったり、死肉や人の出すゴミをあさったりすることもある。

長くてよく動く鼻は、落ち葉の中などから食べ物を探し出すのにも役立っているが、丈夫な四肢と爪も、地面を掘ったり石をひっくり返したりして、餌を探すのに役立っている。

地上では蹠行性で、歩くときはクマの仲間などのように足の裏全部を地面につけて歩く。

ハナグマはかなり速く走ることができ、走る速度は時速24~27キロメートルほどに達することもあり、走るだけでなく、泳ぎもうまい。

具体的な行動範囲は分からないが、雌の群れや雄の行動範囲は重なっていて、雄は縄張りをもっているとも言われている。

ハナグマの外敵はキツネピューマジャガーオセロットタテガミオオカミなどで、タカなどの猛禽類に襲われることもある。
また、大型のヘビや飼い犬などもハナグマを襲うことがあり、外敵は多い。


ハナグマの繁殖・寿命

ハナグマの繁殖期は地域によって異なるが、主に雨期のはじまりに見られ、果物などの食物が最も豊富になる時期と重なっている。

この時期には、雌の群れの中に雄が入ってきて、繁殖は一夫多妻で行われる。

雌の妊娠期間は11週ほどで、1産3~7子、普通は3~4子を出産する。
雌は出産の3~4週間前には群れから離れ、岩穴や樹洞、木の上などに出産用の巣をつくる。

生まれたばかり子どもの目は閉じていて、生後5日程で70~80g程の体重になる。
目は生後10日程で開き、3週間ほどするとしっかりと歩けるようになる。

雌は数週間の後には子どもを群れの中に連れて行き、その後は群れの中で育てられる。
授乳期間は4ヵ月程で、雌は2年、雄はやや遅く2~3年ほどで性成熟する。

成熟した後も、雌はふつう出生した群れの中に残るが、雄は性成熟する頃には群れから離れ、単独での生活をはじめるようになる。

ハナグマの寿命は、野生下では7~8年程度と考えられているが、飼育下では長く、14~15年程度と言われている。


ハナグマの保護状況・その他

ハナグマの仲間は分布域が広いこともあり、現在のところ、絶滅の恐れはないとされている。

しかし、近年の森林開発などで生息地が減少しているほか、ハナグマは食用として狩猟の対象になっているほか、作物や家禽を襲う害獣として駆除されたりしていることから、今後の個体数の増減などが注意されている。

尚、以前はメキシコのユカタン半島東沖のコスメル島に分布するものは別種・Nasua nelsoniとされていたが、現在はN. n. nelsoniとして、ハナジロハナグマの亜種と考えられている。

また、ハナグマはアライグマ科のハナグマ属(Nasua属)に分類されているが、高山地帯などに分布するものは、ヤマハナグマ属(Nasuella属)として別属に分類されることがある。

ヤマハナグマ属のものは、ベネズエラに分布するNasuella meridensisと、コロンビアやエクアドルなどのNasuella olivaceaに別けられているが、N. meridensisはN. olivaceaの亜種とも考えられている。

更に、ヤマハナグマ属は遺伝的にはハナグマ属ど同属とも考えられていて、これらの分類については今後の研究が待たれる。

*写真はいずれもアカハナグマ

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