ホシハジロは中型のカモで、日本には主に冬鳥として飛来し、水辺で群れをつくって生活している。 分布 夏は、主にユーラシア中北部で繁殖し、冬にはアフリカ北部や中近東、インドや中国東部などへ移動して越冬する。 国内には冬鳥として飛来するが、北海道では渡りの時期に多く見られる。 形態 ホシハジロはマガモよりもやや小さい中型のカモで、全長42~49cm程度、翼を広げると71~82cm前後の長さがある。 体は雄の方が少し大きく、雌雄によって羽毛の色が違っているが、雌雄ともに頭頂はやや盛り上がっている。 雄は頭部が赤褐色で、赤い目をしている。 胸は黒褐色のような暗色で、体は白いが細かい虫食い模様があり、灰色を帯びたように見える。 一見するとヒドリガモの雄に似た感じがするが、ホシハジロの背は灰色のように見え、頭頂にもクリーム色の部分がないので見分けることができる。 雌は全体に褐色のような感じで、茶色や黄褐色の目をしている。 頭部から胸にかけても鈍くて淡い色をしていて、体は灰褐色のような色合いをしている。 雌雄ともに嘴は黒っぽいが、青灰色や鉛色のような部分があり、足は黒いが灰色っぽい色をしている。 また、雌はキンクロハジロの雌に似た感じがしないでもないが、ホシハジロの雌には冠羽がなく、目の周りも白いので見分けることができる。 ところで、「ハジロ」の名前は、飛ぶと翼に白い帯がでるので「羽白」と呼ばれているが、「ホシ」は、雄の背に見える虫食い模様を星屑模様に見立てたものと言われているが、これには諸説ある。 生態・生活 北海道では一部のものが繁殖しているとされているが、多くは渡りの時期に見られる。 本州より南では冬鳥として飛来し、各地の水辺で見られる。 河川や湖沼、湿地などの水辺に生息していて、内湾や海岸などでも見ることができる。 飛来した時には大きな群れを成しているが、次第に分散していき、小さな群れで生活している。 他のカモ類と一緒に混合群れをつくることもあり、採餌の多くは夕方から夜間に行われる。 ホシハジロは主に水草や藻類などを食べるが、小型の魚類や甲殻類、水生昆虫なども食べる。 また、カエルなどの両生類やゴカイなどの環形動物の他、水田や耕作地などで植物の芽や種子なども食べる。 繁殖・寿命 繁殖期は4~6月頃で、交配は一夫一婦で行われるが、時に一夫多妻のことも見られる。 巣は水辺近くの葦原や植物が繁茂する茂みなどにつくられるが、水面に浮かぶ水生植物などの上に葦などを積み上げてつくられることもある。 巣は皿状で、内側は羽毛などが敷かれている。 雌は1日1個の割合で6~10個ほどの卵を産み、抱卵も雌が行う、 卵は緑がかった灰色で、62×44mm程の大きさがある。 卵は24~28日程で孵化するが、雄は雌が抱卵をはじめると離れていき、ペアは解消される。 ヒナは孵化後50~55日で巣立ちし、この頃にはで飛ぶことができるようになる。 雌雄ともに1年を過ぎるころには性成熟するが、多くの雌は夏の繁殖期には同じ場所に戻るとされている。 野生下・飼育下ともに詳しい寿命は分かっていないが、コガモの野生下での寿命が20年ほどもあるので、ホシハジロも長ければこれと同じほどの寿命があるのだろう。 保護状況・その他 ホシハジロは分布域が広く、個体数も多いとされているが、ヨーロッパなどでは生息数が減少していて、国際自然保護連合では絶滅危惧種(VU)に指定している。 国内ではマガモやコガモ、ハシビロガモなどと共に狩猟の対象になっているが、地域によっては減少傾向にあり、生息地の減少などが心配されている。 カモ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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ホシハジロ