ケリ

ケリ さんのプロフィール


鳥類図鑑・ケリ

ケリ

チドリ目・チドリ科
学 名 Vanellus cinereus
英 名 Grey-headed lapwing
分布域 国内では中部地方を中心する本州に分布
生息環境 平野部の耕作地や湿地、河川敷や湖沼の岸辺など
全 長 34~37cm 程度
翼開長 75cm程度
体 重 250~300g 程度
自治体によっては絶滅危惧種など

ケリは大型のチドリで、国内では中部地方を中心する本州に分布していて、冬季には、北のものは南方に移動して越冬する。

分布域
ケリはチドリの仲間で、夏にはモンゴル高原や中国北東部、日本などで繁殖し、冬には東南アジアや中国南部などに渡って越冬する。
国内では、北方のものは西日本などに移動して越冬するが、本州中部辺りから南では一年を通して生息している。

また、スウェーデンやイギリス、ロシアの他、スリランカやフィリピン、インドネシアやオーストラリアなどでは、迷鳥として見られることがある。


形態

ケリの全長は34~37cm程度、翼を広げると75cm程の長さが降り、国内で見られるチドリの仲間の中では、もっとも体が大きい。

キジバトよりもやや大きく、雌雄ともに同色で、頭部から胸にかけては灰色や青みを帯びた灰色で、その下には「胸帯」と呼ばれる褐色から暗褐色の帯が見られる。

上面は灰褐色で、腹側は白色で、尾も白く、先の方には黒っぽい帯がある。
また、冬羽は頭部からの灰青色が、やや褐色を帯びる。

嘴は黄色いが先は黒く、嘴の付け根には、黄色い肉垂が見られる。
目は赤橙色のような色合いで、目の周りのアイリングは黄色で、はっきりとしている。
黄色の脚は長く、飛んだ時には、脚は尾よりも後方に出ているほか、人の親指にあたる「小翼羽」と呼ばれる翼付近には、黒い爪が見られる。


生態・生活

国内では、北のものは冬には南へ移動するが、本州中部から南では、留鳥として一年を通して生息している。
北海道でも「迷鳥」として見られることがあり、繁殖期以外は小さな群れでいることが多い。

主に平野部の水田などの耕作地や湿地、河川敷や湖沼の岸辺などに生息している。
チドリの中では大きいので、離れていてもよく目立ち、飛ぶと独特の模様が出るので、ケリであるのがすぐに分かる。

カエルやドショウ、ミミズや昆虫類などを食べるが、多毛類や貝類などのほか、イネ科やタデ科などの草の種子などをついばむこともある。

繁殖期と重なる農耕の時期には、セキレイツグミなどと一緒に耕運機の後ろについてまわり、掘り出された餌をついばむ姿も見られる。

また、「ケリ」の名前はその鳴き声から付けられていて、警戒時などに「ケリケリッ」、「キリキリッ」などの鋭い声を発する。


繁殖・寿命

繁殖期は地域によって差があるが、3~8月頃に見られる。
一夫一妻で、繁殖回数はふつうは1回だが、稀に2回の繁殖を行うこともある。

巣は耕作地や草地、休耕田などにつられるが、時には河川敷などの砂利地につくられることもある。
巣は地面に直径20cm、深さ数cmほどの窪みを掘り、中には枯れ草やワラが敷き詰められる。

雌はこの時期に1~5個、ふつうは4個の卵を産み、卵は長径48mm・短径33mmほどで、20~29g程の重さがある。

抱卵は雌雄交替で行われ、卵は平均28日ほどで孵化する。
ヒナは淡褐色の綿羽に覆われているが、成長は早く、孵化後2日以内には巣を離れ、親に導かれ、縄張りの中で自力で採餌する。

親はヒナの周りでカラスやトビ、ヘビなどの外敵に注意し、近づいて来たものに対しては、大きな声を出して威嚇する。

この時期のケリは気が荒くなり、特に、卵やヒナがいるときなどは、カラスなどに対しても向かって行き、近づきすぎると、人にも対しても向かってくる。

また、繁殖期の雌雄は縄張りをもっているが、ある程度の密度で縄張りが密集したコロニーを形成し、外敵に対しては集団防衛を行うことも知られている。

外敵が近づいた雌雄のペアを中心に、コロニー内の複数のペアが鋭く大きな警戒声を発し、外敵の周りを旋回して威嚇する。
それでも離れないときには、集団で向かって行き防衛する。

また、ケリはコチドリシロチドリなどのように、抱卵中やヒナを連れた親鳥は偽傷して、外敵をヒナから遠ざけることも知られている。

ヒナは生後15日前後から幼羽が生え始め、この頃には小さな肉垂や翼爪も確認できるようになる。
生後6週間を過ぎるころには飛べるようになり、家族は縄張りを解消して移動する。

ところで、ケリは耕作地などにも巣をつくるため、巣は、しばしば耕作機によって壊されてしまうことがある。
その様な場合、壊された巣はまたつくり直されるが、これが繰り返されると、畦道に巣をつくったりする。

また、3月中頃までに産卵されたものは、ヒナは農耕地が耕される前に巣立ちすることができるが、遅く産卵されたものは、卵が犠牲になることが多い。

寿命は、野生下・飼育下ともに、詳しいことは分かっていないが、野生下では14年以上の記録が確認されている。


保護状況・その他

国際自然保護連合では、現在のところ絶滅の危惧はないとしているが、国内では開発などによる生息地の減少などによって、ケリの生息数も減少している。

自治体によっては、絶滅寸前種や絶滅危惧種、準絶滅危惧種などに指定されていて、更なる生息数の現象が心配されている。


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