オカヨシガモは中型のカモ類で、国内には、主に冬鳥として飛来する。 雌雄ともに地味な色合いで、ほかのカモの群れに混じっていることが多い。 分布 夏にはアラスカ西海岸からカナダの大西洋岸やユーラシア北部などで繁殖し、冬になると北アメリカ南部やメキシコ、アフリカ北部やユーラシア南部に移動して冬を越す。 また、夏にはアイスランドでも見られるが、国内では冬鳥として飛来し、北海道などでは少数が繁殖している。 形態 体はマガモよりも小さい中型のカモで、全長は46~58cm前後、翼を広げると78~85cm程の長さがある。 雌雄ともに地味な色をしていて、雄は全体に黒や暗い灰色を帯びたような褐色で、嘴は黒い。 腹側は白いが、胸は細かい斑があるように見え、尾のつけねの腹面(下尾筒)ははっきりと黒い色をしている。 雌は全体に褐色や薄茶色で、一見するとマガモの雌によく似ていて間違いやすい。 オカヨシガモの雌の嘴は黒っぽいが、側面はふつうオレンジ色をしている。 しかし、コガモのように、嘴がほとんど黒いものも見られるので、できれば翼の一部(風切羽に見られる青や緑の光沢部分・翼鏡)を確認するとよい。 オカヨシガモは、雌雄ともに翼鏡が白色で、マガモの雌では青くなっていて、コガモは緑色をしている。 また、体は雄の方が少し大きく、足は赤みを帯びたような黄色い色をしている。 生態・生活 国内には冬鳥として飛来し、河川や湿地、湖沼などの水辺に生息していて、汽水域や内湾、海岸でも見ることができる。 他のカモ類のように大きな群れをつくることはなく、小さな群れで生活しているが、オカヨシガモは森林や密生する植物に囲まれた場所ではほとんど見られず、開けた環境の水辺で見られる。 ほかのカモ類と一緒になっていることも多く、主に水草や藻類などの水生植物を食べるが、小魚や両生類のほか、地上で植物の種子や草類なども食べる。 また、繁殖期には昆虫類などもよく食べる。 採餌は、頭を水の中に入れたり、倒立するような恰好で行われることが多いが、水の中に潜って採餌することもある。 時に、オオバンなどが水底から咥えてきた餌を横取りするようなことも見られるが、これはヨシガモやヒドリガモなど、他のカモ類にも見られる。 活動は日中に行われるが、季節移動の渡りは夜間に行われるとされている。 外敵はキツネやコヨーテ、アライグマやカラス、猛禽類などだが、オカヨシガモを狩猟の対象としている国も多く、一番の外敵は人だとも言われている。 繁殖・寿命 繁殖期には変化があるが、ふつうは5~7月頃に見られる。 一夫一婦で繁殖し、オカヨシガモは毎年同じペアで繁殖するとも言われている。 営巣地は雌雄によって探されるが、多くの場合、雌は出生・孵化した場所の近くに巣をつくるとされている。 コロニーのような集団営巣は行わないが、巣は水辺近くの茂みなどにつくられるので、営巣に適した場所では、適当な間隔をあけて幾つかの巣が集まることもある。 巣は地面の窪みなどを利用して浅く掘られ、草や木の葉、枯れ枝などを用いてつくられる。 また、内側には、自らの羽生を抜き取って敷くこともある。 雌は1日に1個の割合で7~13個ほどの卵を産むが、多くは9個ほどを産卵する。 卵は5.5×3.9cm程で、24~27日程で孵化するが、抱卵や育児のほとんどを雌が行う。 ヒナは孵化後すぐに歩くことができ、親の後をついて回り、自ら採餌する。 ヒナは2か月ほどで巣立ちし、雌雄ともに1年ほどで性成熟する。 寿命は、野生下・飼育下ともに詳しくは分かっていないが、アラスカで目印を付けられたものが、ルイジアナ州で捕獲された時には、19年を経ていたと報告されている。 保護状況・その他 オカヨシガモは、国によってはマガモやコガモなどと共に狩猟の対象にもなっているが、分布域が広いこともあり、国際自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。 しかし、以前はキリバスのワシントン島に分布していた亜種・ M.s. couesi(ファニングオカヨシガモ)は、既に絶滅してしまっている。 現在生息しているものはすべて基亜種・M.s. strepera だが、冬に国内に飛来するものは少ないとも言われている。 カモ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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オカヨシガモ