動物図鑑・ハイイロオオカミ

ハイイロオオカミ

ハイイロオオカミさんのプロフィール


動物図鑑・ハイイロオオカミ
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和 名 ハイイロオオカミ
分 類 食肉目・イヌ科
学 名 Canis lupus
英 名 Gray wolf / Timber wolf / Western wolf
分布域 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の大部分など
生息環境 森林地帯や山岳地帯、半砂漠地帯など、地域によってさまざま
体 長 100~160cm 程度
尾 長 35~52cm 程度
体 重 25~50kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 亜種によっては絶滅危惧種
オオカミ(Canis)の仲間は世界中に広く分布していて、広義の意味では、ジャッカルコヨーテ、ディンゴなどのほか、イヌ(イエイヌ・カイイヌ)も含めての「オオカミ」を指すことがある。

しかし、普通はユーラシアから北米に広く分布するハイイロオオカミ(Canis lupus / Gray wolf・Timber wolf・Western wolf、国内ではタイリクオオカミと呼ばれることもある)、アフリカ北部に分布しているアフリカゴールデンオオカミ(Canis anthus / African golden wolf)、エチオピアの一部に分布しているエチオピアオオカミ(Canis simensis / Ethiopian wolf)などを指して「オオカミ」と呼んでいる。

また、この中でも、最も広く分布しているハイイロオオカミを指して「オオカミ」と呼ぶことが多く、ここでもハイイロオオカミを取り上げて、オオカミとしている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


ハイイロオオカミの分布域・生息環境
ハイイロオオカミは、ヨーロッパからアジア、北アメリカからメキシコなどの北半球に広く分布しているが、グリーンランドやアラスカ地方などの北極圏にも分布している。

森林や草原、荒地やツンドラ地帯、半砂漠地帯やほとんど不毛の地など、生息域も広く、低地から標高4000m近い山地まで、様々な環境に適応している。

分布域が広いこともあり、ハイイロオオカミには多くの亜種(別ページ参照)があり、体の大きさや毛色などには変化がある。


ハイイロオオカミの大きさ・特徴

ハイイロオオカミは亜種や地域などによって大きさに差があるが、概ね体長100~160cm程で、25~50kg程の体重がある。

ふつう、雄の方が体が大きいが、ツンドラ地帯のような寒帯に生息している亜種は雌雄共に体が大きくなる傾向があり、獲物も、ヘラジカトナカイなど、大型のものを捕らえる傾向がある。

これとは対照的に、アラビアやインド、メキシコなど、南方に生息している亜種は体が小さく、ウサギネズミマーモットなど、小動物を捕らえることが多い。

また、ハイイロオオカミ全体を平均すると体重は40kg程だが、ウクライナでは体重86kgもの個体がいたとされていて、小さいものでは、アラビアやインドに分布している亜種で、平均体重20~25kg、最小のものは12kgであったとされている。

しかし、いずれにしてもハイイロオオカミの大きさは、分布域や食料事情などによって大きな差がある一方、50kgを超えるものは少ないと言われている。

体色も、黄褐色から灰褐色のような色合いが多いが、白っぽいものや灰色のもの、ほとんど黒いものや真っ白なものまで、様々なものが見られるが、ふつうは腹側は淡くて、体毛は二層に分かれ、夏毛と冬毛がある。

特に、寒冷地に生息しているものは毛が長く、冬には頸部から肩、背中にかけて、およそ13cm程の長い毛が生え、雪などから体を守っている。

だが、体の大きさとは別に、ハイイロオオカミはいずれも四肢は細長く、指行性で、歩くときにはつま先で歩く。

尾は長くてフサフサとしていて、耳は三角形で比較的小さいが、聴覚には優れている。
嗅覚も鋭く、1.5km程も離れた獲物を嗅ぎ別けることができると言われている。

視力も優れていて、目には「輝膜(タペタムとも)」と呼ばれる光を反射する層あり、夜間でもよく相手をとらえることができる。


ハイイロオオカミの生態・生活

ハイイロオオカミは低地から山地まで様々な環境に生息していて、極地や砂漠地帯を除くほとんどの環境に適応している。

「パック」と呼ばれる群れで生活しているが、この群れは、成熟した雌雄とその子どもたちからなる家族群で構成されている。

パックはふつう5~8頭程で構成されているが、生息環境と獲物の量などに応じて、少なくもなるが、稀に20頭を超す群れも見られる。

この群れは、雌雄ともに順位制がみられる厳しい社会構造をもっていて、よくまとまっている。

また、ハイイロオオカミの中には、群れから離れて単独で生活しているものも時折見られる。

そのような単独のものは、群れの中の順位争いに敗れたものや、独立して間もないものなどで、単独の雌雄が一緒になって、やがては新しいパックをつくっていくが、中には生涯単独ですごすものも見られる。

ハイイロオオカミは主として夜行性だが、しばしば日中も活動する。

広い行動範囲をもっていて、100~13,000平方km程の行動範囲がある言われているが、この範囲も生息環境や群れの大きさ、食糧事情などによって大きく変わってくる。

最小の行動範囲は33平方km、最大のものは6200平方km程とも言われているが、いずれにしても、ハイイロオオカミは広い行動範囲をもっている。

行動範囲は縄張りにも結び付いているが、一説によると、縄張りの中心となる部分は35平方km程で、その中を1日に25km程を移動すると言われている。

獲物が少ない地域では、1日で最大200km程を移動することもあると言われているが、ハイイロオオカミは強い縄張り意識をもっている。

縄張り内に入ろうとするものなどに対しては、激しく攻撃して追い払うが、外部から群れに入ってこようとするものに対しても、激しい攻撃を加える。

しかし、縄張り意識は強いが、寒い地方に生息しているものなどは、獲物の少ない冬季には、パックが集まり20~30頭の大きな群れをつくり、共同して大型の獲物を襲うこともある。

また、時には外から来たものをパックの中に受け入れるようなことも見られる。

ハイイロオオカミの通常の移動はやや早足で行われ、その速さは1時間に8~9kmを超えることはないが、8km/h程で数時間は移動することができると言われている。

走るのも速く、荒れた土地でも時速50~60kmで駆けることができるが、獲物を追うときなどの走る速さは50~60km/hほどにも達し、その速さのまま20分ほどの間は追い続けることができると言われている。

跳躍力にも優れていて、走っているときには5m程も跳ぶことができる。

獲物は、小さなネズミ類からウサギやビーバー、マーモットやキツネイノシシムフロンのような中型のもの、大きなものはヘラジカやアカシカオオツノヒツジシロイワヤギバイソンなど、生息地によってさまざまなものを捕らえる。

また、餌の少ないときには魚や爬虫類、両生類、死肉なども食べるが、トウモロコシやリンゴ、ナシなどの植物質のものも少しは食べる。

しかし、ハイイロオオカミはほとんどが人から離れて生活していて、人を襲うようなことは滅多にないが、獲物が少ない地域や放牧地周辺などに生息するものは、家畜を襲うこともある。

小さな獲物は単独で捕らえるが、大きな獲物を捕らえるときは、パックの中のリーダー的な雌雄を中心にして行われる。
待ち伏せや近くまで忍び寄って襲い掛かったりするが、ふつうは、弱ったものや若いものを狙う。

長距離を追いかける場合は、先頭を交代しながら追いかけていくが、パックの連携は素晴らしく、ハイイロオオカミは獲物を谷間や仲間のいる方向などに向かって追い込むようにすることが知られている。

また、走るときには、コヨーテの尾は下がっているが、ハイイロオオカミは尾を上げているので、遠くからでも見分けることができる。

ハイイロオオカミは一度に9kg程の肉を食べることができ、大きな獲物をしとめた後は、数日間は食べないで過ごすが、単独のオオカミがアカシカやトナカイを倒すこともある。

寝床は岩の割れ目や樹洞、倒木の下にある窪みなどを利用するが、普通は河川や湖など、水源からは遠く離れていない。

しかし、子育ての期間以外には、常に決まった寝床を利用するとは限らず、出産や子育てのための巣穴は別につくられる。

コミュニケーションは表情や動作、鳴き声や匂いなどで交わされるが、よく「オオカミの遠吠え」と言われる鳴き声は、開けた土地なら10km程も届くと言われている。
また、匂いも重要な連絡手段で、行動範囲内に一定の間隔で排泄して匂いを残し、縄張りを主張している。

外敵は人間以外にはほとんどいないが、稀にトラに襲われたり、幼いものはクマに襲われることもある。


ハイイロオオカミの繁殖・寿命

ハイイロオオカミの繁殖期は地域によって差があるが、主に1~4月頃に見られる。

普通はパック内の優位な雌雄によって交配が行われ、その絆は強く、生涯のあいだ関係が続くと言われている。

しかし、繁殖は一夫一婦で行われるが、食料が豊富なときには、他のものも交配することがある。

巣穴は、地面や倒木の下などを掘ってつくられるが、樹洞や岩の割れ目、ほかの動物が使ったあとの巣穴などを利用することもある。

地面に掘られた巣穴の長さは2~4m程で、水辺に近いところにつくられるが、水源から500m以上は離れている。

雌の妊娠期間は62~75日程で、1産1~14子、平均すると4~6子ほどを出産する。
生まれたばかりの子どもの体重は300~500g程で、毛は黒っぽく、目は閉じている。

生後10日から2週間ほどで目は開き、3週間を過ぎる頃には、巣穴の周りを歩き回るようになる。

子育ては雄やパック内の仲間も参加して行われ、目が開いた頃から、親や仲間が吐き戻した肉を少しずつ食べるようになり、6~8週程で離乳する。

その後は徐々に群れに参加し、半年後には狩りを覚えはじめるようになる。

1年程で親と同じくらいの大きさに成長し、雌雄共に2~3年程で性成熟する。

成熟後も、そのまま群れに留まるものもいるが、多くはこの頃には群れを離れていき、中には出生した群れから400~600kmも離れた場所に移動していくものも観察されている。

ハイイロオオカミの寿命は、飼育下では15年程の長さがあり、長いものは20年を超した例が知られているが、野生での寿命は短く、平均すると5~6年程、長いものでも10年程度と考えられている。


ハイイロオオカミの保護状況・その他

ハイイロオオカミは、かつては砂漠と熱帯雨林を省く北半球のほとんどの地域に分布していたが、人の生活圏が広がると共に、家畜を襲う害獣として、また、毛皮を目的とした狩猟も行われ、生息数が激減してきた経緯がある。

既に絶滅してしまった亜種や地域もあり、国内でも本州・四国・九州にはニホンオオカミ (C.l. hodophilax) が生息していたが、既に絶滅している。

この亜種はオオカミの中でも最小のもので、体長は95~114cm、尾長30cm程で、中形の日本犬程度の大きさだったが、1905年を最後に絶滅してしまい、北海道に生息していたエゾオオカミ (C. l. hattai) も、これより先に絶滅してしまっている。

現在のところ、ハイイロオオカミは分布域が広くて個体数も多いことから、国際自然保護連合では絶滅の恐れはないとしているが、亜種によっては個体数が少なく、絶滅危惧種に指定しているものもある。

また、オオカミが絶滅してしまった地域では、シカ等の草食動物が増加し、森林の樹木などに被害が出るなどの問題も起こっている。

尚、イヌ(イエイヌ・Canis familiaris)はハイイロオオカミとは別種とされてきたが、近年はハイイロオオカミの亜種 Canis lupus familiaris と考えられているほか、ハイイロオオカミとアメリカアカオオカミ、コヨーテなどの間では相互に交配が可能で、野生下でもこれらの交雑種が多く知られている。

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